まずい。
非常にまずい。
あれだけ投資してもらった研究だけど、全然結果が出ない。
この研究で新規投入したマンションが1軒買えるくらいの高額機器。
そこに試薬を投入し、オリジナルのレシピで試験しても、
数値が上がらない。
なぜだ。
どうしてだ・・
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私はとある企業で研究職をしています。
決して順風満帆な研究人生ではなく、入社して直ぐに配属され研究部門で5年働いた後、他の技術部門に異動になりました。はい。能力が低いと判断されたからです。
異動後の名刺には『研究員』という肩書が消され、所属部署+名前で終了。
どこにでもいる技術系部署のサラリーマンになりました。
異動した部署で担当する技術は、それが上手くいこうがどうであろうが、
会社全体には0.05%くらいしか影響しない技術。
でも、そんなことは知らずに、ひたすら技術を磨き続けました。
当時科学論文は読んでいたものの、自分の業界が求めていることなんて知る機会もなく、知ったとてその分野を与えてもらえる訳でもなく、上司に指示された課題をひたすらこなしていました。
正直、自分の課題は120%くらいのパフォーマンスで答えていたと思います。
結果も出ていましたし、全て報告書にしていました。
少し脱線しますが、報告書にすることは思いのほか重要です。
技術系は『実験や研究に没頭するのが大好き!』という人は多いですが、最後まで報告書に残す人は少なかったりします。
いや、これホントに。
結構多くの人が、報告書にせず、実験ノートにも『むにゃ』っとしたことしか残さずに誤魔化します。
記録に残っていないと『なかったこと』と一緒。
後に同じ技術を社内で立ち上げたり、他の人が研究しようと思った時、「確か○○さんがちょろっとやっていたけど・・」と思い出されますが、ほじくりかえしても報告書が見つからないため『うやむや』になります。
誰も咎めませんが、その時の人件費や費やした資材費はどうなるんだろ・・と思ったりします。
ええ。よく本当に思います。
経営側からすると、研究系はブラックボックスなので、報告書の有無をヤンヤ言う人はいません。
それを隠れ蓑にして『何しているのか分からない技術系』は多いものです。
学生時代からそのような技術者・研究員をゴマンと見てきたのと、
自分も気を抜けば簡単に同じような過ちを犯すので、
気合を入れて報告書を書くようにしていました。
さて、
私の120%の結果は、
毎年毎年、
平凡という査定でした
そりゃそうだ。
課題自体が影響力が小さすぎる。
それが達成できたとて、潤沢な利益を満たさないのだ。
そんなことに気が付くのにも、異動して7年くらいかかりました。
私はなんでや!と悶々としつつも、常に報告書を残し、誰にも恥ずかしくない技術を構築してきたつもりです。
クソみたいなテーマでしたが。
で、いろいろ割愛しますが、
4年ほど前に、所属部署で組織編制が行われ、
ワタクシ、
研究職に返り咲きました
嬉しかった?
いや、怖かったです。
なぜなら私は10年も研究から離れていました。
ブランク10年です。
いやいや、同じ技術系じゃない~と笑う人がいます。
ちょっと待て。全然求められている能力が異なります。
テニス部で活躍していた人が、卓球もできるでしょ?と卓球のラケットを持たされ、なぜか代表として試合に出るのと同じイメージ。
そもそも競技が違うのです。
でも、そんな無茶ぶりが効かないのが企業の人事。
なんとなーく、『こいつが今研究に入った方が上手く回るかも』、『女性研究員がいないと体裁が悪いから入れとこうか』という安易な気持ちからだと思います。
私の研究員返り咲きは拍子抜けするほどササッと決まりました。
ただ技術系でやってきた10年も無駄ではありませんでした。
技術現場の業務改善のために、プログラミングを学び、
プログラミング言語のRやPythonはそこそこ書けるようになり、
メンターとなる大学の先生やコミュニティを見つけ技術を磨いてきました。
気が付けば、社内では私ほどプログラムが書ける人はいない状態でした。
もちろん若い人はもっと書けますし、ChatGPTを駆使すると直ぐに抜かれるような低レベルの技術です。
ただ、会社のシステムと互換性のよいコードや、誰に頼めばスムーズに事が進むかなど、ベテランだからことわかることってあったりします。
さて、そんな私に一世一代の研究課題が舞い込んできました。
ちょっと長いので、続きます!
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