前回の続きです。
しがないサラリーマン研究員に、一世一代の仕事が舞い込んできた話。
うん。どの角度からみても、
一世一代の仕事です。
とはいえ、社内で有名でも何でもない社員にそんな白羽の矢が立つわけではありません。
では、なぜチャンスが舞い込んできたのか?
『世の中の動き』と『自ら研究課題』がリンクしたから
世の中が、AI時代へと突入したからです。
私の専門は分子生物学や理学関係でしたが、
たまたま担当した課題がモロ『AI』が必要な分野でした。
8年ほど前から進めていたプログラミングをフル活用し、
自分の専門分野と組み合わせ、
マネタイズできそうな課題をいくつかピックアップ。
社内の各所に聞きに回ったところ、
とある課題だと、一儲けできるんじゃない?
しかも、同業他社もどこもやっていないんじゃない?
先行者利益をとれるかも!
という分野だったので、走らせることにしました。
でも、それは同時に、
新規事業を立ち上げるくらい、怖ろしく難易度が高い課題でした
後で考えても、普通、ゴーサインは出さないだろうな・・という案件。
こんなことを許してもらえたのは、
もしかすると自分の部署の上司がゴリゴリの研究者出身じゃなかったからかもしれません。
理系の上席は、良くも悪くも『理屈っぽい人』が多い。
全ての可能性を羅列し、仮説の掘り下げもこだわる。
そのため、研究者として優秀過ぎる上司だと、
なかなか意見が通りません。
その人を論破する証拠やデータ集めに奔走し、何年もの時間を費やします。
嫌になって研究を離れたり、退職する人をゴマンと見てきました。
だがしかし!
私の上司は超が付くほどの『営業畑』出身。
そろばんを叩くのも上手ですし、技術の深い所まで理解するよりも『この技術が金になるかどうか』の部分に着目してくれます。
だからこそ、
通りました。難易度の高い課題が。
でもね、同時に、
どれくらいの難易度か分からないので、成功しても評価をもらえない
という最悪のジレンマがつきまといました。
ほんと、これには苦しめられた。。
そのため、優秀な後輩が辞めました。
どれくらい優秀だったかと言うと、国立大の医学部医学科に現役で入ったのに、この分野の研究がしたいから飛び込んできたくらいの秀才+やる気がある人材でした。
しかし、やれどもやれども、難易度に対する上司の評価が低すぎて・・
「君たちなら簡単にできるんだろ?」なーんて日常的に言われ、
評価ももらえず、
呆れかえってサラッと辞めました。
そういう所も最近の若い人は賢い。
で、残された私。
とにかく淡々とデータを集め、歯を食いしばって前に進めてきました。
こうなると努力とか根性とかではありません。
怨念と執念です。
そんな中、集まったデータや裏取りが認められ、
今年度の初めに、潤沢に資金を頂けることになりました。
高給マンションが数部屋買えるほどの金額です。
で、その機器がいよいよ届くため、作成中の工場に行って、テスト試行を行い、そのデータを取ってきました。
さて、どんな結果になるかな。
ワクワク・・と思っていたのです。
うん。
そのまさか。
結果が、
出ないのよ。
何度解析にしても、シミュレーションしていた通りに数値がでないのよ。
まーじーかーーーーー
続きます。

読みに来て下さりありがとうございます。恐ろしく ちょっと更新鈍っていますがまた元に戻します。続きを読みに来てもらえますと嬉しいです。