前回の続き:育休中のおっさんが、子育て広場に通い詰めたらどうなるか【夫のエッセイ】
子育て広場ははじめこそ緊張しましたが、参加するたびにママさんたちと徐々に自然に話をするようになりました。
目に見えない「ぼんやりした違和感」も徐々に解消されてきました(多分)。
※はじめはお互い距離感を見定めるような時間があったと思います。
ママさんたちと話をして感じたのが、
皆さん、
本当に子供を大切にしている
僕には3人の子供がいて、全員に対し愛情をもって育ててきたつもりです。
しかし、母親の愛はもっと深く、
具体的でした。
「〇〇が苦手だから、どうやって食べてもらえるだろうか?」
「8か月だけど、まだハイハイをしない。成長が少し遅いけど、大丈夫だろうか?」
「夜中の咳がするのが心配」
世のパパさんたちからしたら、「大丈夫だろ」「はいはい」と受け流しそうな部分も、ちゃんと向き合っていました。
角度が違えば神経質じゃないか?と言わるかもしれないですが、子供に焦点を当てて生活しているのは紛れもない事実です。
テレビをつけると児童虐待やネグレクトなどの話題がやっていたりします。
でも、僕が見た子育て広場のママさんたちはみんな一生懸命子供たちと向き合っていました。
子育て広場に定期的に行くようになると、毎回出席している方がいます。
(僕も毎回出席し、すっかりレギュラーメンバーに定着しました)
ある時、
「鈴木さん(仮名)が来ていないけど、大丈夫かな?」とひとりのママさんが話を振りました。
その話を聞き、多くのママさんが口をぽかんと開けていました。
「鈴木さんって誰ですか?」と別のママさん
「鈴木さんはあやちゃんのママ」と話をすると、多くのママさんは納得の表情。
皆さんは、苗字ではなく、子供の名前でお互いを把握していました。
鈴木さんではなく、あやちゃんのママとしてその人のことを認識していました。
ママさんたちの目線は完全に子供を中心にしていました
これには正直びっくりしました。
今まで僕が生活していた場所は自分が主人公で、
みんな自分自身を一人称として認識し、会話していました。
しかし、ここでは子供が主役で、自分自身は子供のお父さん、お母さんというサブな存在。
自分自身が一人称ではなく三人称になっていました。
驚きました。
朝から会社に行き、夜に帰ってくる。
晩御飯を食べてお風呂に入って眠ってまた次の日会社。
こんな生活をしていると会社の人間関係しかなく、会社の階級や会社での常識こそが世の中の常識と思ってしまいがちになります。
特に、僕が働く地方都市の研究所などは、大学や大学院を卒業した理系の人間、大した社会経験もなく、平たく言うとガリ勉達がそのまま働いています。
そうなると、会社のルールを律儀に守りますし、組織での身のこなし方が全てになる。
『男性は家を守ること』
新卒から働き、古い考えの上司たちの影響か、『男性一軍、女性は支える』的な信じられない考えが平気で浸透していたりします。
いや待て待て。
男性だけが一軍じゃないぞ。むしろ、男性、一軍か?
ママさん達、めちゃくちゃ気が付くし、コミュニケーション能力も極めて高いし、変に『高学歴です』とか、『○○に勤めています』とか自慢する人も全然いない。
足の引っ張り合いなんかあるはずがない。
その場を上手に楽しみ、きめ細やかに子供のケアをしていました。
男性諸君、ここまで雑談能力ある?
自分以外の誰かに常に注げる覚悟はある?
僕は全然ない。
ガツーン!
とやられました。
どの研修に行くよりも、『子育て広場に通い詰めること』は、人生経験になりました。
育休の終盤まで、この子育て広場に通い、
とうとうきた最終日。
僕は、お世話になったママさん達一人一人に挨拶しました。
オッサンが感極まって、マスク越しに「ありがとうございました。」と挨拶。
馬鹿じゃないか?
と思われるかもしれませんが、
最終日、家路に帰る時ちょっと泣きました。
僕は、会社で無難に長く働くために、海外や国内出張にもコロナ前は頻繁に赴きましたし、長時間の勤務時間も良しとしてきました。
妻には小言を言われましたが、それが、子供や妻のためにも一番良いことだと信じて疑いませんでした。
でも、違うのでは?
『夫側』の良しと思っていることって、ママさん達には迷惑や自己満と思われても仕方ないかな。とも思ってしましました。
もちろん、僕が仕事のペースを緩めると、会社での評価は落ち、昇給やボーナスにも響くでしょう。世帯収入は落ち、我慢ばかりの生活になるかもしれません。
ん?
待てよ。
今すでに、うちの妻は毎朝夕、ワンオペで我慢ばかりしていないかい?
保育園の送迎やご飯の用意、お風呂、あれこれ、全部彼女じゃないか。
我慢や辛さって、収入だけの問題ではないかもしれない。
うちの妻は、『収入が下がるくらいなら自分がやるよ』という派かもしれないですし、『いや、下がってでも手伝って』派かもしれない。
実際、怖くて聞けません。
僕もまだ、『じゃあ、自分の仕事をセーブします』なんて簡単には言えない。
モーレツサラリーマンしかいない環境で、1人サラッと帰れない。
40代の中間管理職。
指示を待っている人が少なからずいます。
でも、このままではどうやらダメな気がする。
すくすく成長する我が子達。
僕は、強烈な機会損失をしているのでは
頻繁に思うようになりました。
仕事に対して、どうすべきか・・・まだ答えを出しかねています。
ただ、
育休を境に、
『家族に寄り添う』質は完全に更新されました。
とにかく、サラリーマンという型にはまりまくった僕でしたが、家族全員でオンリーワンな形を模索していこうと思います。
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