前回の続き
ともばたけ:幻の妊娠ー①夫が育休取得となるまでー
現実に起こることとは、
想像以上に静かに起こっていたりします。
例えば、迷子だったり、溺れたりなどは、静かに起こり過ぎて、周囲が気がつかないことが多いと聞きます。
実際、私も長男が迷子になりかけた時も、次男がお風呂で溺れかけた時も、無言で静かに起こりました。
もちろん、そうでない場合もあります。
しかし、ドラマなどで分かりやすく人が悶えたり、
叫んだりするシーンが頭に焼き付いているためか、
何となく『通常とは違うこと』が起こる時には、気が付きやすいと思い込んでる自分がいました。
![青空](https://tomobatake.com/wp-content/uploads/2019/05/A64A44F0-0B14-4CA4-B0D4-2132A88863B1-550x394.jpeg)
妊娠初期の私に起こったことも、
正にそんな感じ。
静かに、痛みも感覚もなく、
ツーっと太ももに伝う鮮血。
あれ?これは、、
もしも夫が近くにいたのなら、私は横たわりジッとしていたでしょう。
でもそういう訳にはいかない、ワンオペの朝。
3歳、5歳がいつものようにグズグズ用意をしています。
子供達のサポートをしつつ、とにかくタオルを下着にあてました。
直ぐにでも病院へ向かいたかったのですか、子連れの通院は、難易度が高い。
その場で即入院となった場合も大変です。
痛みも感覚も全くないので、動くことは可能。
子供達をいつものように保育園に送り届け、1番近い産婦人科に駆けつけました。
「妊娠反応はありますが、血液が大量に溜まっています。おそらく、このまま全て出てくるでしょう。」
医師にはそう言われました。
私の目からは、ぬくい液体が、ポロリとこぼれました。
次の日の朝には、生理痛のような激痛がました。
あぁ、これは確実にダメだな。
と妊娠の継続が難しいことが分かりました。
私達夫婦とって、今回の流産も本当にショックでした。
子供達は非常に勘が良く、この数日で、
「お母さん、お腹に赤ちゃんいるね」
と気が付いていました。
私も嬉しくなり、そうだったらいいね~~と話していた矢先なので、やっぱり凄く落ち込みました。
夫も言葉にはしないですが、ガッカリしていたのでしょう。
私からの報告に、
「そうか・・会社、早退して家に帰ろうか?」
と言ってくれました。
いいよ。1人でゆっくりするわ。
と話していたのですが、急いで帰ってきてくれました。
それから数日が経ち、
産院でも、妊娠反応はなくなりましたと診断されました。
私は、次、妊娠できたとしても、
2度と「育休を夫に取ってもらおうなんて言わない」と思いました。
流産した子に聞かれていたような気がしたのです。
いやいや、初期の流産はよくあることなので、非科学的な思考に陥っていることも重々承知です。
でも、何となく・・
産まれてくること自体で奇跡なのに、どちらが育休を取るかで揉めるなんて、ナンセンスなことを聞かせてしまった。
お母さんが、取るよ。
イヤな口論をきかせちゃって、本当にごめんなさい。
と考えていました。
さて、平凡な日常に戻った我が家でしたが、職場にてちょっとした偶然が重なりました。
私の所属チームは、技術系には珍しく、極めて女性が多い職場です。
一方でお勤めしている会社は、ザッジャパンの男社会。
総合職女性も恥ずかしくなるくらい少ないです。
なぜ、このチームだけ女性ばかり?
私が推測するに、以前辞めた総合職の先輩も、今の主任も、私も10年数年以上の勤務歴があります。
定着度がイマイチな女性総合職が働きやすいのでは?と上層部が思ったのでしょう。
また、女性の下で働くのならスタッフも女性の方が・・
とまだまだ保守的な考え方から、この構成になったと察しております。
チームでは、口酸っぱく『男性を入れて欲しい』と要望していました。
妊娠が重なった場合、人員配置が難しくなるからです。
それだけでなく、女性ばかりだと特有のグループや小さな派閥が作られる場合があります。
一定数、男性が入っている方が、潤滑が良くなり、組織としても運営しやすい部分はあると感じます。
それでも、うやむやにされ、まぁ年代もバラけているし、
大丈夫だろうと上層部は思っていたのでしょう。
さて、女性達の予想は当たりました。
そのチームメンバーの多くが、
同時期に妊娠が分かりました
チームの7割の人員が、妊娠もしくは育休となったのです。
部署のトップは大混乱。
すぐに派遣社員やパートを増員しましたが、
技術系とは蓄積したノウハウがあるため、
なかなか代わりは難しい部分もあります。
そして、リーダーである先輩(主任)も妊娠が分かりました(←うわぉ!)。
もう、残るメンバーは殆どいない。
私は、部課長に呼び出され、
「君の研究テーマを止めても、他の人のフォローをよろしく頼む」
と懇願されました。
私は通常メンバーからスピンオフした形で、皆の技術が少しでも向上するように解析をしたり、外部とアポイントメントを取ったりと、現場に入らないスタンスがメイン業務になっていました。
自らの席も現場メンバーとは異なる配置になっていました。
と言っても、毎日顔を合わせ、冗談を言い合ったり、同僚として良好な関係を築いていたつもりです。
みんなが大変なこともよく分かります。
よし、自分で役に立てるのなら!
と気合をいれようとした矢先。
妊娠が分かりました。
続く
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