成功と失敗というリスクの間【技術系の苦悩③】

前回のつづきです。

 

あれ?おかしいぞ?

結果が出ない。

なんで?

 

時計は18時近くになっています。

昔はみなし残業バリバリだった技術系の現場ですが、今はホワイト中のホワイト。

終業時間になると競うようにして帰宅する環境になりました。

 

だかしかし、

帰れない、いや帰りたくない

こんな中途半端な演算のまま、帰る訳にはいきません。

男性のように、

「あれー?仕事終わらない。今日は残業かな~」

で帰れないのがワーキングマザー。

18時には店じまいしてスタコラサッサとお家に帰らなければなりません。

 

終業の支度をしながら、考えます。

マズイ・・とてもマズイ

かもしれない。

演算が全て間違っていたかも・・

そうなると、技術自体が台無しになる。

サー―真っ青になります。

 

その日、家に帰っても、

研究が気になって仕方がありませんでした

 

成功させなければ。

他に予算をもらうべき研究を抑えて、我々の研究に投資してもらったんだ。

それだけでなく、今まで沢山の人に協力してもらった。

 

しかも、これが成功すれば、

それなりの利益を生み出すことが分かっています。

研究の成功だけでなく、投資回収+マネタイズもできます。

プロだもの。

プロの企業研究員だもん。

自分のやりたい研究ではなく、

利益を生み出す研究を遂行せねばならない。

 

次の朝・・

朝早くに研究室に向かう・・ということも出来ないのがこれまたワーキングマザー。

3人の子どもの面倒をみつつ、自分の支度をします。

地味に1本前の電車に飛び乗れて、すこーしだけいつもよりも早く出社できましたが、そんなこと誰も知りません。

解析用のPCを付け、準備します。

 

あの部分。

昨日直したプログラム。

 

私自身が不可解になっている部分がありました。

 

というのも、例の天才の後輩が過去にアルゴリズムを組んでくれた部分が後半に待ち構えています。

小難しいコードが書かれているので、

「まぁこれはこのままで。動くからいいか。」

と前任者が担当していた部分はそのままにしていました。

 

しかし、メスを入れるべき時かもしれない。

 

ブラックボックスがあれば、そこが命取りになる

もう一度アルゴリズムを読解しつつ、解析を進めます。

パチパチパチパチ・・

夢中でプログラムを書いていると、いつの間にかお昼になっていました。

 

うーむ。

 

この時、いつも誰かに相談する私は、

誰にも相談できませんでした。

主任研究員である自分がしっかり確かめ、

不具合が起きている所と改善点をしっかり提示してから相談しなければ、

心配と混乱を招くだけ。

 

もしも技術的に実現困難であっても、

  • どこがダメで
  • どうしてダメなのか
  • 今後改善の余地はあるのか

を明確にしてから相談しないと。

多額の予算をもらっているだけに、慎重に進めなければ

 

それに今すぐ相談しても、

もう少し調査してから相談しても、状況は変わりません。

 

このコードの修正が比較的短時間でできる研究員は、

今、

私しかいません。

もちろん、私が優秀な訳ではなく同じレベルで出来る人はゴマンといますが、

他の分野の専門を理解し、経験を活かしながらコードを調整しているため、

他の人だと時間はかかるという意味。

 

それにしても、

孤独です。

トンネルの中を懐中電灯で1人探検しているみたい。

道に迷っているけれど、誰も相談相手なんていない。

自らの手足で進まねばならぬ。

 

そこで、気がつきました。

ん?んんん?

あった。

ここの動作、おかしい!

 

もう一度、丁寧にコードを紐解きます。

すると、簡単なコードに単純なミスがありました。

シンプル過ぎて逆に分からなかった

カー――!!ここか!

 

事前にチャットGPTにコードを食わせたら分かったかもしれませんが、

業務上作成した機密コードを流出する訳にはいきません。

自作のコードは自分で読み解くしかない。

 

やっぱりここだ。

何度か試運転をして、

やっといつも通りの結果が出ました。

 

よかった。ミスを補正できた。

 

地味に、とにかく静かに、

誰にも気がつかれずに大ピンチを背負い、

そっと1人で修正しました。

 

なんだかね。

これが技術系の醍醐味かもしれませんが。

じ、地味すぎるぜ!

 

ではまた。

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ABOUTこの記事をかいた人

10数年前の入社当時は、バリバリ系(自称)を目指してヒジ張って働いていました。 メディアに紹介され、優秀な女性として会社の重要ポストに・・と本気で考えていました。 現実は全く違い、自分の中で上々の結果だと思っても平凡な評価。現実と理想の違いに悶々とする日々。 結婚、自らの転勤、DINKSを経て、待望の子供を出産。 2回の育休を取得し、現在4歳、6歳の育児中。 もうすぐ3人目の出産を控える。 約50平米、賃貸マンションを何とか快適にと模索の日々。 夫婦共に技術系総合職、 お互いの実家は遠方(完全核家族)、 バタバタの育児、 主人は早朝(繁忙期は5時)に出社、 夫婦共に遠出の出張も・・ どこまでいけるか奮闘中の共働家、ともばたけ!