2年半前にスタートしたとある研究があります。
厳密に言うと、もっと前の5年前から多方面のトライアンドエラーを繰り返し、いけるんちゃうか?
という機が熟してきたので、プロジェクト化にした研究です。
プロジェクト化すると予算もそこそこもらえます。
進捗会という名の報告会での発表が必須になり、
煩雑な面はありますがそんなことは軽微なこと。
その後、飛ぶ鳥を落とす勢いで結果を出し、
データをかき集め、同業の世界企業を見渡し論文を調べ・・
いける!私達ほど前に進んでいるグループはない
と分かったので特許を出願。
弁理士や法務部も巻き込み、共同研究している研究施設と権利の交渉をし・・
この辺りは大変でしたが何とか乗り越えました。
追加の試験を繰り返し、出来る条件と該当しない条件があるなど足せる情報はバンバン足していきました。
アジアの島国である日本のとあるマニアックな企業。
そこに属する小さな研究室のオバちゃんと数人の仲間でここまでのことが出来たのは、奇跡に近い。
社内でも注目が集まってきました。
しかし、
企業とは無残なモノです。
経営方針が変わりました
おーまいごー
うん。トーマスも絵が変わりましたね。
経営方針や経営者の鶴の一声で、企業って変わる。
トップの『判断』でどんなに素晴らしい技術を持っていたとしても簡単に亡きモノになる。
記憶に新しい事件としては、TOSHIBA。
不正会計問題で解体されました(その前にも数々の痛いことがありました)。
私が就職活動をしていた2000年代初頭は東芝に入れるなんて凄い!って思っていたのですが・・あの時就職した方々はどうなったのでしょう。
うん。
話を戻します。
私のプロジェクトのやり方が、経営方針に合わなくなってきました。
研究にはリスクが伴います。
結果が出なかったり、製品化ができないと今まで投資してきた時間もお金もなかったことになります。
新しい経営陣は、
リスクを取るのを極力嫌う方々になったようです。
しらんがな~
現在、本研究の研究費は結構な金額必要です。
都内に高級マンションが買えるくらい。
でも、その額が払えないとさ。
理由は、
このプロジェクトの精度が5:5だから
フィフティー、フィフティー
五分五分
ってやつです。
何度シミュレーションしても、10のうち5は出来て、5は不可。
これは変わらない。
今までの経営者だと、この確率でも、
いけー!やってまえーー!!
と言ってくれました。
しかし、新しい経営布陣になってからは、
8:2が求められるとのこと
80%成功しないとダメだって。
いや、無理やで。
どう頑張ってもそれは無理や。
嘘もつけないし。
部門のトップ曰く、
「新規に投資をする前に、手を引くのも手かもしれないね。この研究を辞めるのも・・ひとつかもね。」
と言い出しました。
さて問題。
そこで、ベテラン研究員の私はどうしたでしょう。
- 怒りを露にする
- そうですね~と同調する
- 拗ね「もう金輪際やりません!」と言う
- しょんぼりする
さぁ、どれをしたと思いますか?
というか、この話が出た時に瞬時に上記4つを想定してみました。
私の望みとしては、
予算を頂き、研究を続け、自分の評価も現状維持にする
が条件。
怒ったり、拗ねたりするとダメ。
負の感情表現はご法度。
今まで何度も感情を露にして訴えたこともありましたが、全部悪い方向にしか進みませんでした。
でも、「そうですね~」と同調すると、主担当の私が「辞めると言っているから」と辞めよっか!の流れになる。
ということで、
しょんぼりしてみました
とにかく、沈黙し、しょんぼりしました。
シーンとする主担当の研究員。
沈黙に耐えられなくなった上席が、
「どうしたんだい?ぽに君。いつもの勢いややる気は?」
と言ってきたので、
いや、ちょっと言葉が出なくて・・
と沈黙しました。
すると・・
「うん。分かった。
何とか続けられるように策を練ろう。」
という話になりました。
えっ、マジで?
黙っていただけで、ことが進んでいったわ。
こんなの初めて。
今まで理路整然とデータを持ち出し、
予算がどれだけ必要か…
この研究はうちの企業にこれくらいの利益を生むので・・
とか何とか言ってきましたが、
そんなのどーでも良かったみたい。
上司が腹落ちするまで待てば良かったみたい。
ということで、なんだか続けられるみたいです。
ベテランという経験値が初めて役に立ちました。
長くサラリーマンしてると体得できるスキルもあるんですね~
そだね~のクリックが嬉しい