数年前、
「会社、辞めてやる。」
と、毎日のように思っていました。
もうね、朝から晩まで頭の中で辞表がチラチラ。
一度「とーーっても嫌!」のスイッチが入ると、もはや何をしても「やっぱり嫌!」に変換されてしまうのが人間の悲しい性です。
でも、だからといって「よし、今日でサヨナラ!」と立ち上がれるほど、人生は甘くない。
当時の我が家の状況といえば、夫は転職ホヤホヤ。
三男はまだ乳飲み子。
子どもは3人。出費は多く、睡眠は少ない。
――転職なんてしている場合じゃない。
というより、「転職したい」と口に出したものの、
行動に移す余裕がない。時間もない。
一方でもう、本当に限界で。
心の声が「もう無理ーー!!!」と叫んでいました。
何がそんなに嫌だったのか?
理由はシンプル。
「仕事量と評価、全然つり合ってなくない?」
そう思ってしまった。
こう書くと「自己評価高くない?」と笑われそうですが、たぶん高かった。
でも、それ以上に当時の給与がびっくりするほど低かった。
管理職試験に高得点だったと言われたのにどうやら会社の都合?当時の上司たちに嫌われたのか?まぁ何だか分からない「君を上げることはできない」という説得をされて、とにかく管理職試験に落ちてしまったのです。
なのに仕事の難易度だけは高い。
研究テーマのハードルも高い。
「貴方ならできるよね?」という謎の圧。
こんなこと言うと性格に難あり・・と思われてしまうかもしれませんが、当時近くに座っていたおしゃべりばーっかりして簡単な課題しかしない先輩の方が給料が高い。
優秀な後輩は呆れて辞めていく。
後輩の仕事もなぜか私が引き継ぎ、余裕は、もっとなくなる。
本当に嫌でした。
しかも私の課題は、AIとか機械学習とか、評価が「よーわからん」系のテーマでして。
結果――
いまだに評価されていません。
嘘だろ!?
いや、ほんと。笑えない現実です。
成果を出しても評価されないってナンジャラホイ!
本当に辞めなかった自分の頭がおかしいのではないか。むしろ。と思ってしまうような状態でした。
それにしても、
ここ数年で職場の雰囲気も変わりました。
数年前までは「やる気のある人ほど先に辞めていく」時代でしたが、最近は違う。
特に若手の間では、
「低空飛行で、ギリギリ働く」
というスタイルが増えている気がします。
「やってもやらなくても、どうせ給料は同じでしょ?」
と静かに悟りを開いたタイプ。
辞めるでもなく、燃え上がるでもなく―
なんて言うんだろ。
「存在感を消して、最低限で働く」
社長賞や○○賞なんて全然興味なし。
目立つことが良し!出世しやすい!とされていた世の中でしたが、出世?タイミングが合えばやぶさかではないけど、ねぇ~。変に転勤とかしたくないし。
転勤もしたくない。
出張もつかれるから、内勤できる部署で・・
そんな人たちが、じわじわ増殖中。
でもね、彼らは決して常識外れでも新人類でもない。
むしろ超・常識人。
ただひとつ違うのは、
“頑張る”を封印している ということ。
頑張ったら転勤になる人を見ていますしね~。
そして、
もう一方の主役。
そう、管理職たち。
これがまた、10年前、20年前と比べると、びっくりするほどホワイト。
優しい。
柔らかい。
クリーン。
いや、どうしたの?
何があったの?というレベル。
もちろん、今でもクセ強めの上司はいますが、昔に比べればみんな穏やかになりました。
私が新入社員のころ、配属された中央研究所の署長なんて、もう完全に“元・反社の風格”でしたからね。マジで。
締め切りが近づけば上席の怒鳴り声が響き、気分で「承認」「未承認」をしてしまう。あ~もう20年も前なのに、まだまだ書けないことがいっぱいある。
正直、震えましたよ。当時は。
でも、不思議と“筋”は通ってたんです。
「一度“やってみろ”と言ったら、失敗しても部下は守る」みたいな。
コワモテだけど、仁義あり。
今思えば、ある意味分かりやすかったかもしれません。コンプラ的には完全アウトですが。
一方、現代の上級たち。
笑顔で話しやすく、優しそう。
よし、相談してみようかな!と意気込むと――
秒速で却下。
「うーん、そこまで頑張らなくてもいいんじゃない?」
「リスクは考えてる?」
「現状維持でも充分だよ」
はい、出ました。保守の嵐。
結局、どんな提案も“抑制”のフィルターを通される。
見た目は穏やか、中身はテコでも動かない。
時々思うんです。
もしかして、あのコワモテ上司たちの方が、よっぽど【情熱的で人間味】があったんじゃないかって。
今の上司たちは、ハラスメント撲滅・コンプラ遵守で完璧なんだけど―
人間らしい、泥くささが消えた気がします。
時代は変わっても、人の本質はそう簡単に変わらない。
結局、私たちは今も昔も、好き嫌いや気分で動く生き物。
では、私自身の【辞めたいブーム】はどこへ行ったのか?
それよ!
分からない。
燃えに燃えていた【辞める】という情熱が、
沈下して言った感じ。なんか疲れた。
それに比例?して、自分のテーマであるAIや機械学習やプログラミングの認知度が時代と共に上がり、評価はされないまでも(まだされんのかい!)悪くない立場にしてもらっています。
要するに私も結局、存在を消して最低限で働くという若い人達に、すり寄っている気がします。
これが良いのかどうか分かりませんが、
今のところは無理せず、
いや現状の課題やタスクにかなり無理はあるんだけど、
穏やかに進めていきたいな~と思うのです。
ポチが嬉しかったりします・・ホントに。ありがとうございます。




